地震後にコーキングがひび割れたら?補修が必要な状態と先打ち・後打ちの違い
地震後にコーキングがひび割れたら?補修が必要な状態と先打ち・後打ちの違いを解説
地震のあと、外壁の目地にあるコーキングを見て、 「ひび割れているけど、このままで大丈夫?」 「雨漏りにつながらない?」 「地震で家そのものが壊れているのでは?」 と不安になっていませんか。
地震後に見つかったコーキングのひび割れは、 ひびが入っているという見た目だけで、すぐに打ち替えが必要だと判断することはできません。
特に、以前の外壁塗装でコーキングを施工してから塗装している「先打ち」の場合、 地震などによってコーキングが動いたことで、その上に塗られた塗膜だけがひび割れていることがあります。
一方で、コーキングそのものが裂けていたり、外壁との間に隙間ができていたり、 目地が大きく開いていたリする場合は、雨水の浸入を防ぐ機能が低下している可能性があります。
さらに、これから外壁塗装やコーキングの打ち替えを行う方に向けて、 コーキングを先に施工してから塗装する「先打ち」と、 塗装後にコーキングを施工する「後打ち」の違いについても解説します。
大切なのは、ひび割れを見つけた瞬間に 「全部やり直さなければならない」と考えることではありません。
この記事の目的
地震後にコーキングのひび割れを見つけたときに、 「どこを確認すればよいのか」「どのような状態なら専門家に相談したほうがよいのか」 を分かりやすく整理します。
地震後のコーキングのひび割れは、まず「何が割れているのか」を見る
コーキングは、外壁材と外壁材の間や、サッシまわりなどに使われている弾力性のある材料です。
外壁材同士の動きを吸収し、目地部分から雨水が入り込むのを防ぐ役割があります。
そのため、コーキングには建物のわずかな動きに合わせて伸び縮みする柔軟性が求められます。
地震が発生すると、建物にも大きな揺れが加わります。 すると外壁材同士の位置関係が一時的に変化し、それに合わせて目地のコーキングも引っ張られたり、圧縮されたりします。
ここで知っておきたいのが、コーキングそのものと、その上に塗られた塗膜では 「動きやすさ」が違うということです。
コーキングは動くことを前提とした材料ですが、硬化した塗膜はコーキングほど大きく伸び縮みするものではありません。
そのため、コーキングの上から塗装している場合、地震などによってコーキングが動いたときに、 コーキング自体ではなく、その表面の塗膜がひび割れることがあります。
ここがポイント
外から見て「コーキングがひび割れている」と感じても、 実際には「コーキングの上にある塗膜がひび割れている」というケースがあります。
ここを区別しないまま、見た目だけで補修の必要性を判断するのは適切ではありません。
表面に細いひびが見えるだけなら、まず状態を確認する
たとえば、目地部分に細い線状のひび割れが入っていても、 シーリング材そのものが大きく裂けているわけではなく、 表面の塗膜だけにひびが入っている場合があります。
特に、過去の外壁塗装で「先打ち」が行われていた住宅では、 この可能性を考える必要があります。
先打ちとは、コーキングを施工してから、その上を外壁と一緒に塗装する方法です。
この方法ではコーキングの表面が塗膜で覆われるため、 紫外線や風雨からコーキングを保護しやすいというメリットがあります。
一方で、コーキングの動きに塗膜が追従できず、 表面の塗膜がひび割れることがあります。
そのため、地震後に目地部分の塗膜がひび割れていても、 「このひび割れがあるから、すぐにコーキングを全部打ち替えなければならない」 とは限りません。
まず確認したいこと
ひび割れの奥にあるコーキング自体がどうなっているかを確認することが重要です。
ただし、一般の方がカッターなどで表面を切って確認したり、 高所の目地を無理に近づいて確認したりする必要はありません。
地震後は、コーキングだけでなく外壁材や屋根、サッシまわりなどにも損傷が生じている可能性があります。
安全に確認できる範囲で状態を見て、判断できない場合は専門家に見てもらうほうが安全です。
コーキングそのものが裂けていたら、早めの確認を
注意したいのは、表面の塗膜ではなく、 コーキング材そのものに明らかな損傷がある場合です。
たとえば、次のような状態です。
- 目地の中央部分が大きく裂けている
- コーキングと外壁材の境目に隙間ができている
- コーキングが外壁から剥がれている
- 目地が大きく開いて奥が見えている
このような状態は要確認
単なる表面上のひび割れではなく、 目地としての防水機能が低下している可能性があります。
早めに状態を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
国土交通省の資料でも、外壁については、 雨水の浸入につながるおそれのあるき裂などの損傷がないかを確認する考え方が示されています。
また、地震後に外壁のひび割れや目地の開き・ずれが見られる場合は、 コーキングだけを見て終わらせるのではなく、外壁全体の状態も確認する必要があります。
国土交通省が公開している木造住宅の地震後安全チェックでも、 サイディングでは目地の細かな開き・ずれや外壁の割れなどが確認項目になっています。
さらに、外壁材そのものに大きなひび割れや浮き、剥がれ、ズレなどが見られる場合は、 「コーキングを打ち替えれば終わり」と考えないことが重要です。
コーキングの補修方法を決める前に、 外壁全体にどのような変化が起きているのかを確認する必要があります。
「地震後だから全部補修」ではなく、損傷の程度で判断する
地震後は家のあちこちに変化が見つかるため、 「ひび割れを見つけたら全部直したほうがいいのでは」と考えてしまいがちです。
しかし、外壁のひび割れには経年劣化によるものもあり、 ひび割れがあるという事実だけで建物の耐震性や重大な損傷を判断できるわけではありません。
国土交通省も、外壁のひび割れなどが必ずしも耐震性の問題を意味するわけではない一方、 重大な影響を及ぼす場合もあるため、専門家による確認が望ましいとしています。
ひび割れだけで判断しない
地震後のコーキングについては「ひびがあるか、ないか」だけではなく、 周囲の状態まで含めて確認することが大切です。
- どこにひびがあるのか
- 表面だけなのか、コーキング自体なのか
- 外壁との接着部分に隙間がないか
- 目地以外にも外壁の割れやズレがないか
- 雨水が入り込んだ形跡がないか
先打ちと後打ちは、どちらが正解なのか
ここまで読んで、 「では、これから外壁塗装をする場合は、先打ちと後打ちのどちらにすればいいのか」 と疑問に思う方もいるでしょう。
先打ちとは?
先打ちは、コーキングを施工してから外壁を塗装する方法です。
コーキングの上にも塗料を塗るため、 外壁と目地を同じような色合いに仕上げやすく、 全体として一体感のある外観にできます。
また、コーキングが塗膜で覆われることで、 紫外線などから保護されるというメリットがあります。
先打ちで注意したい点
コーキングは建物の動きに合わせて伸縮するのに対して、 塗膜はそこまで大きな動きには追従できません。
そのため、地震や温度変化などによってコーキングが動くと、 その上にある塗膜にひび割れが発生することがあります。
ただし、 塗膜が割れていることと、コーキング自体が破断していることは同じではありません。
後打ちとは?
一方の後打ちは、外壁の塗装を終えてからコーキングを施工する方法です。
コーキングの上に塗膜がないため、 コーキングの動きによって塗膜がひび割れるという問題は基本的に起こりません。
そのため、塗膜のひび割れを避けたい場合にはメリットがあります。
ただし、塗膜による保護がないため、 コーキング自体が紫外線や風雨に直接さらされます。
そのため、後打ちにする場合は、施工方法だけでなく、 使用するシーリング材の耐候性や耐久性も重要になります。
また、コーキングの色がそのまま目地の色になるため、 外壁との色合わせも仕上がりを考えるうえで重要です。
先打ち・後打ちに「絶対の正解」はありません
先打ちにも後打ちにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
「先打ちだから悪い」「後打ちだから絶対に長持ちする」といった 単純な話ではありません。
大切なのは、工法だけでなく材料と組み合わせて考えること
先打ちと後打ちを考えるとき、もう一つ重要なのが 「どのコーキング材とどの塗料を組み合わせるのか」 という点です。
シーリング材にはさまざまな種類があり、 塗料との相性によっては、塗膜の密着性やひび割れ、汚染などに注意が必要な場合があります。
そのため、「先打ちか後打ちか」だけを先に決めるのではなく、 使用するシーリング材、塗料の性質、外壁の種類、既存の状態、 期待する耐久性や仕上がりまで含めて施工方法を決めることが大切です。
施工方法だけで決めない
材料の仕様によって先打ちを前提とする組み合わせもあれば、 後打ちが適しているケースもあります。
実際の住宅では、外壁材・既存シーリング・使用する塗料などを確認したうえで、 適した施工方法を検討することが重要です。
たとえば、外壁の塗り替えを行うタイミングでコーキングも新しくするのであれば、 塗料の耐久性だけを見て決めるのではなく、 コーキングの耐久性とのバランスも考える必要があります。
せっかく高耐久の塗料を使用しても、 目地部分のシーリングが先に大きく劣化してしまえば、 外壁全体としてのメンテナンス計画が崩れてしまうからです。
逆に、後打ちによって塗膜のひび割れを避けても、 露出したコーキングの耐候性が十分でなければ別の問題が起こります。
だからこそ、施工方法だけを切り取って「どちらが正解」と判断するのではなく、 住宅全体の条件に合わせて選ぶことが重要です。
弊社での施工例
弊社では、仕上がり時の美観を気にされるお客様が多いことから、比較的先打ちを選ばれるケースが多いです。
先打ち・後打ちのどちらでも、SRシールH100やオートンイクシードなど、耐久性の高いシール材を使用することが多いです。
先打ちはその後に塗料やクリア塗装でカバーするため、シール業者さんから「H70(10年相当)でもよいのでは」と言われることもあります。しかし、近年は塗料も長期耐久化しており、金属サイディングなど長期耐久の外壁材と組み合わせる場合、コーキングが先に劣化するリスクがあります。そのため弊社では、先打ちで見えなくなる場合でもH100を使用することがほとんどです。
一方、後打ちは色の調整も多少できるため、将来的なコーキング上の塗膜にひび割れが生じることを気にされる方は、後打ちを選ばれています。
先打ち・後打ちのどちらが正解ということではなく、美観や耐久性、外壁材・塗料との組み合わせなどを考えて選ぶことが大切です。
地震後のひび割れで、特に確認してほしい状態
今回の地震をきっかけにコーキングの状態が気になっている方は、 まず安全な場所から確認できる範囲で目地を見てください。
安全な場所から確認するポイント
- 細いひびが表面に入っているだけなのか
- コーキング自体が大きく裂けているのか
- 外壁との境目が剥がれているのか
- 目地が大きく開いているのか
- コーキング以外の場所にも外壁のひび割れやズレがあるのか
- 雨漏りや室内側の水染みなど、雨水が入り込んだ形跡がないか
⚠️ 地震後に無理に屋根や高所へ上らないでください
屋根や2階部分などを確認するために、 地震後の建物へ無理に上ることは避けてください。
地震後は、外壁やコーキングだけでなく、 屋根や建物そのものに損傷が生じている可能性があります。
国土交通省も、大きな揺れのあった地域では、 一般の方が住宅の安全性を単独で判断することは難しいとして、 目視によるチェックと、必要に応じた市町村や専門家への相談を案内しています。
「ひび割れがあるから危険」と決めつける必要もありません。
反対に、「コーキングだけだから大丈夫」と決めつける必要もありません。
判断できない部分を専門家に確認してもらうことが、一番確実です。
地震後のコーキングは「直すこと」より「正しく判断すること」から
地震後にコーキングのひび割れを見つけると、 どうしても「早く直さなければ」と考えてしまいます。 しかし、補修を急ぐことと、 状態を確認せずに工事を決めることは別です。
補修前に確認したい4つのこと
- 表面の塗膜だけが割れているのか
- コーキング自体が破断しているのか
- 外壁材にも損傷があるのか
- 雨水が入り込む可能性がある状態なのか
ここを確認してから、必要な補修方法を考えるべきです。
特に今回のような地震後は、コーキングだけを見て 「打ち替えが必要」と判断するのではなく、 外壁全体の状態まで含めて確認することが大切です。
地震後の住宅は、コーキングだけで判断しない
地震後の住宅については、コーキングだけでなく 外壁や屋根などを含めて総合的に確認することが大切です。
不安なまま自己判断で工事を決めるのではなく、 まずは現在の状態を確認する。
それが、地震後の住宅を適切に直していくための第一歩です。






