カバー工法ができない屋根とは?瓦屋根で誤解が増えている理由も解説
「瓦屋根でもカバー工法ができる」と思っていませんか?対象外になる屋根の特徴と、その理由を解説します。
公開日:2026年9月18日 更新日:2026年10月31日
「カバー工法で安く済ませたいんですが、うちの屋根でもできますか?」
こうしたご相談をいただくことがあります。カバー工法は葺き替えに比べて工期も短く、費用も抑えられる工法ですが、すべての屋根に適用できるわけではありません。
特に最近は、「瓦屋根でもカバー工法ができる」という誤った認識でお問い合わせをいただくケースが増えています。結論からお伝えすると、瓦屋根はカバー工法の対象にはならず、葺き替えが基本になります。
カバー工法とは
カバー工法(重ね葺き)とは、既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材(主にガルバリウム鋼板など軽量な金属屋根材)を重ねて施工する工法です。
撤去や処分の手間がかからない分、葺き替えに比べて工期が短く、費用も抑えられる傾向があります。また、既存の屋根材が下葺き材の役割も兼ねるため、屋根が二重構造になり断熱性が上がるというメリットもあります。
🏠 当社のカバー工法で使う屋根材
当社では、DECRA(デクラ)社の屋根材を使っています。いずれも、ガルバリウム鋼板の表面に天然石の粒を焼き付けた屋根材で、1平方メートルあたり約7kgと軽いのが特徴です(メーカー公表値)。
- セネター:当社での施工実績がとくに多い屋根材です
- デクラミラノ・コロナ:施工実績があります(どちらも現在施工中のため、施工事例の今後公開予定)
どの屋根材が合うかは、屋根の形や勾配、お好みの色によって変わります。
ただし、この工法はあくまで「既存の屋根の上に、もう一枚重ねる」工事です。裏を返せば、土台となる既存の屋根に一定の強度・平坦性・耐久性が残っていることが前提になります。この前提が崩れている屋根には、カバー工法は使えません。
カバー工法ができない屋根の特徴
🏯 瓦屋根
- 可否
- 不可(葺き替えが基本)
- 主な理由
- 波形状で平坦な下地を作れない、重量が大きい
🪵 下地(野地板)が傷んでいる屋根
- 可否
- 不可
- 主な理由
- 腐食した下地の上に重ねても根本解決にならない
🧱 ノンアスベスト期のスレート屋根(劣化が進行した状態)
- 可否
- 状態による
- 主な理由
- 下地としての強度・密着力が確保できない場合がある
🔁 過去に一度でもカバー工法を行っている屋根
- 可否
- 不可
- 主な理由
- すでに二重構造のため、これ以上重ねると重量が過大になる
瓦屋根|カバー工法の対象にならない理由
瓦は1枚ごとに山と谷のある波形状をしており、表面が平らではありません。カバー工法で使う新しい屋根材は、下地が平坦であることを前提に施工するため、瓦の凹凸の上にそのまま重ねることができません。
また、瓦自体の重量も大きく、その上にさらに屋根材を重ねると、屋根全体の重量が大きく増加してしまいます。屋根が重くなるほど、地震の際に建物にかかる負担も大きくなるため、耐震性の観点からも推奨できません。
瓦屋根の場合は、既存の瓦を撤去してから新しい屋根材を施工する「葺き替え」が基本の選択肢になります。
下地(野地板)が傷んでいる屋根|カバー工法の対象にならない理由
カバー工法は、あくまで「今ある屋根材の上に重ねる」工事であり、下地そのものを直すことはできません。
雨漏りが続いていた屋根などでは、既存の屋根材の下にある野地板(下地の板)が腐食していることがあります。この状態でカバー工法を行うと、見た目上はきれいになっても、下地の腐食はそのまま残ってしまい、根本的な問題は解決しません。数年後に雨漏りが再発するリスクもあります。
このケースでは、既存の屋根材を撤去し、傷んだ野地板を補修・交換したうえで新しい屋根材を施工する葺き替えが必要になります。
パミール・コロニアルNEOなど|ノンアスベスト期のスレート屋根は、劣化の程度によってカバー工法の可否が分かれる
1990年代半ばから2000年代半ばにかけて、アスベスト規制への対応として製造されたスレート屋根材には、パミール(ニチハ)やコロニアルNEO(クボタ/現ケイミュー)のほか、レサス、シルバス、アーバニーグラッサ、ザルフグラッサ、グリシェイドNEOなど、複数の製品があります。これらはメーカーや製品によって症状の出方に多少の違いはあるものの(パミールは層状剥離、コロニアルNEOはひび割れ・欠けが目立つ傾向があるなど)、いずれも耐久性に課題を抱えやすい時期の屋根材として知られています。
こうした屋根材は、劣化の程度によってカバー工法が使えるかどうかがはっきり分かれるため、他の項目とは少し扱いが異なります。
- 反り・部分的なひび割れ・表面の崩れ程度の状態:下地としての強度がまだ保たれているため、カバー工法で対応できることが多い段階です。
- 表面が粉状になっている(触ると白い粉が手につくような状態)、または層状剥離・ひび割れが広範囲に進んでいる状態:下地としての強度や密着力を確保できないため、カバー工法の対象にはならず、葺き替えが必要です。
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屋根材ごとの劣化サインの見方は、別記事で詳しく解説しています。ただし、劣化の程度は見た目だけでは判断が難しいこともあり、屋根材の種類によって症状の出方も異なるため、最終的には現地での確認をおすすめします。
過去に一度でもカバー工法を行っている屋根|カバー工法の対象にならない理由
すでに一度カバー工法を行っている屋根は、その時点で「既存の屋根+重ねた屋根材」の二重構造になっています。この状態にさらにカバー工法を重ねる(三重にする)ことはできません。
屋根は建物の一番高い位置にある部材のため、重量が増えるほど建物全体の重心が上がり、地震の際の揺れの影響も大きくなります。過去にカバー工法を行った屋根については、その事実だけで再度のカバー工法は選択肢から外れる、とお考えください。
下地が傷んでいる、屋根材の形状がカバー工法に適さない、すでに重量が増えている——こうした条件のいずれかに当てはまる場合、施工しても十分な効果が得られない、あるいは施工自体が困難になります。
自分の屋根がカバー工法に向いているか、大まかに見分けるポイント
現地調査を依頼する前に、ご自身である程度の目安をつけたい場合は、次の点を確認してみてください。
-
屋根材は瓦かどうか
瓦であれば、この時点でカバー工法は対象外です。
-
これまでに屋根の工事(カバー工法)をしたことがあるか
一度でもカバー工法をしていれば対象外です。
-
雨漏りをしたこと、または現在している箇所があるか
あれば下地が傷んでいる可能性があり、現地での下地確認が必要です。
-
ノンアスベスト期のスレート系の場合、劣化の見た目はどの段階か
反りやひび割れ程度か、それとも触ると白い粉がつく・層状に剥がれている、あるいはひび割れが広範囲に及ぶほど進んでいるか。
1〜3のいずれかに当てはまる場合は、葺き替えが基本の選択肢になると考えておくと、その後の相談がスムーズです。4については、ご自身での判断が難しい場合も多いため、写真を撮っておいて現地調査の際に確認してもらうのがおすすめです。
⚠️ 屋根に上っての確認は危険です
無理に屋根に上って確認するのは危険です。特にパミール・コロニアルNEOなど、劣化したノンアスベスト期のスレート屋根は、踏むこと自体が危険な場合もあるため、確認は地上や窓からの見た目の範囲にとどめてください。
「瓦屋根でもカバー工法ができる」という誤解が増えている理由
ここ最近、当社への問い合わせの中で、「瓦の上からカバー工法で安く済ませたい」というご相談が増えていると感じています。
背景には、カバー工法という言葉自体がリフォーム系の情報サイトやSNSなどで広く知られるようになり、「屋根の工事=カバー工法にすれば安い」というイメージだけが先行してしまっていることがあるようです。実際には、カバー工法が使えるかどうかは屋根材の種類や状態によって決まるものであり、瓦屋根はその対象外にあたります。
費用を抑えたいというお気持ちは非常によく分かります。だからこそ、「カバー工法ができるかどうか」を最初に確認せず、「カバー工法ありき」で話を進めてしまうと、現地調査の段階で「実はできません」となり、思っていたスケジュールや予算が崩れてしまうことになりかねません。
カバー工法が使えない場合の選択肢|葺き替え工事
カバー工法が適さない場合、主な選択肢は既存の屋根材を撤去して新しく施工する「葺き替え工事」になります。
葺き替えは、カバー工法に比べて費用も工期もかかりますが、下地から新しくするため、次のようなメリットがあります。
- 傷んだ野地板を補修・交換できるため、根本的な防水性能の回復が期待できる
- 屋根の重量をリセットできるため、耐震性の面でも安心感がある
- 既存の屋根材の状態に左右されず、屋根の性能を新築時に近い状態まで戻せる
費用感の目安
🔧 カバー工法
- 目安費用
- 約100万円〜
🏚️ 葺き替え
- 目安費用
- カバー工法より高め
※一般的な30坪程度の住宅を例にした目安です。屋根材の種類や下地の状態、足場など関連する内容にて変動します。
💡 目先の金額だけで判断しないために
カバー工法の方が費用を抑えやすい傾向はありますが、下地が傷んでいる屋根にカバー工法をしても数年で不具合が再発すれば、結果的に葺き替えの費用が二重にかかることになります。目先の金額だけでなく、その工法が屋根の状態に合っているかどうかを合わせて確認することが、長期的には費用面でも合理的です。
現場で見てきた実例
🔎 現場で見てきた実例
「カバー工法で安く済ませたい」とご希望いただいたお宅で、実際に調査すると下地の傷みがかなり進んでおり、カバー工法では対応できない状態だったケースがあります。
このときは、費用面のご希望に沿えないことを正直にお伝えしたうえで、なぜカバー工法が難しいのか、屋根の状態を写真でお見せしながらご説明しました。結果として、当初のご希望とは異なる葺き替え工事になりましたが、「無理にカバー工法で済ませていたら、数年後にまた同じ相談をすることになっていたと思う」というお声をいただいたこともあります。
🏠 瓦屋根の雨漏りを、瓦をはがして直した例|熊本市北区H様邸
- 築53年の瓦屋根。工期は1日
- 瓦をはがして原因を調べ、防水シートの亀裂・破れから雨水が入っていることを特定しました
- 前の業者は、割れた瓦をコーキングでふさいだだけで、根本の解決にはなっていませんでした
瓦屋根は、上から重ねるカバー工法ではなく、瓦をはがして下から確かめる必要があります。お客様の声では、屋根をはがした写真を見ながら原因と直し方を説明してもらえたことが、安心と信頼につながったとのことです。
よくある質問
瓦屋根でもカバー工法はできますか?
できません。瓦は山と谷のある波形状で平坦な下地を作れず、重量も大きいため、カバー工法の対象にはなりません。既存の瓦を撤去してから新しい屋根材を施工する葺き替えが基本です。
一度カバー工法をした屋根に、もう一度カバー工法はできますか?
できません。すでに「既存の屋根+重ねた屋根材」の二重構造になっているため、三重にすると重量が過大になります。過去にカバー工法をした屋根は、その時点で再度のカバー工法は選択肢から外れます。
下地(野地板)が傷んでいても、カバー工法はできますか?
できません。カバー工法は今ある屋根材の上に重ねる工事で、下地そのものは直せないためです。腐食した下地の上に重ねると、数年後に雨漏りが再発するおそれがあります。屋根材を撤去して野地板を補修・交換する葺き替えが必要です。
パミールやコロニアルNEOの屋根は、カバー工法ができますか?
劣化の程度によって分かれます。反りや部分的なひび割れ、表面の崩れ程度であれば、カバー工法で対応できることが多いです。表面が粉状になっている、層状に剥がれている、ひび割れが広範囲に進んでいる場合は、葺き替えが必要です。最終的には現地で確認します。
カバー工法と葺き替えでは、費用はどのくらい違いますか?
一般的な30坪程度の住宅を例にした目安では、カバー工法は約100万円〜が目安で、葺き替えはそれより高くなります。屋根材の種類や下地の状態、足場など関連する内容で変わります。
まとめ|私たちが大切にしていること
ご希望の工法がある場合も、まず屋根の状態を確認したうえで、その工法が適用できるかどうかを正直にお伝えすることを大切にしています。
「カバー工法のほうが安いので、多少無理をしてでもカバー工法で施工してしまう」という判断は、当社では行いません。
目先の費用よりも、施工後にきちんと性能が発揮される工事であるかどうかを優先しています。
🏠 「うちの場合はどうなんだろう?」と思ったら
屋根材の種類(瓦・スレート・金属屋根など)や築年数、これまでに屋根の工事をしたことがあるかを教えていただければ、カバー工法が可能かどうかの大まかな目安をお伝えします。正確な判断には現地での確認が必要になりますが、まずは電話やメール、お見積もりフォームからお気軽にご相談ください。
🏠 かとう塗装のプラン・ご相談
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