「塗料が本当に25年持つか」と聞かれたときにお伝えしていること
「この塗料は25年持ちます」と言われても、本当に25年持つかどうかは誰にも分かりません。それでも私が、数字だけをお伝えしない理由をお話しします。
今日は朝から塗料メーカー様との打ち合わせがありました。新しい塗料の説明や性能試験結果から導き出された耐久力、安定供給や世界情勢に伴うメーカー様の対応などのお話を伺う機会がありました。
そして午後からは、外壁塗装についてご相談を受けているお客様から、こんなご質問がありました。
「この塗料は本当に20年持つでしょうか?」
「メーカーの資料では25年耐久と言っているなら安心ですよね?」
こういったお話をするたびに、考えさせられることがあります。
「本当に25年持つかどうかは、誰にもわからないのではないか」
「どこまでより精度の高い判断をして、その回答に責任を持てるのか」
塗装工事をご検討されているお客様の中には、「この塗料は20年持ちます」「25年耐久の塗料です」という説明を受けた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、その説明自体が間違っているわけではありません。
しかし私は、お客様にその数字だけをお伝えすることはしていません。なぜなら、そこには知っていただきたい大切なことがあるからです。
メーカー様の研究力
まずお伝えしたいのは、メーカー様が根拠なく耐久年数を提示しているわけではないということです。現在の塗料は技術の進歩によって性能が向上し、様々なメーカー様から高耐久塗料が数多く販売されています。資料や試験結果を見せていただくことがありますが、その研究開発への姿勢にはいつも感心させられます。
実際に今日お話ししたメーカー様も、独自の耐候性試験や検査を重ね、できる限り精度を高めたデータをもとに耐久年数を提示されている、実績も豊富な信頼のおけるメーカー様です。石橋を叩いて慎重にデータを出し、なおかつ安定供給のための企業努力を続けていらっしゃいました。新商品の情報だけでなく、塗料業界の動向や品質管理、原材料価格の変動、世界情勢による供給への影響などについても学び続けています。
各メーカー様の製品には、それぞれ異なる強みがあります。
- 耐久性に優れた塗料
- 遮熱性能に優れた塗料
- 美観維持に優れた塗料
私たちも常に情報を更新しながら、お客様に最適な提案ができるよう努めています。
実際に何年持つか
それでも「実際に何年持つか」は分かりません。
どれだけ精度の高い試験を行っていても、実際の住宅環境は試験環境と同じではありません。例えば、次のように住宅ごとに条件は大きく異なります。
🏠 住宅ごとに違う条件
- 日当たりの強い住宅
- 海風の影響を受ける住宅
- 雨が多く当たる面
- 周囲に建物が密集している環境
さらに、施工時の環境や下地の状態なども耐久性に影響します。25年耐久とされる塗料であれば、本当の結果が分かるのは25年後です。だからこそ施工会社としては、「必ず25年持ちます」とは言えません。
私はお客様とのお打ち合わせの際、メーカー様の説明をそのままお伝えするのではなく、あえて簡潔にお話ししたり、少し慎重な表現を使ったりすることがあります。それはメーカー様を信用していないからではありません。むしろ逆です。メーカー様が真剣に研究されていることを知っているからこそ、その数字だけが一人歩きしてしまうことを避けたいと思っています。
私は期待だけを売ることはしたくありません
もし私が、次のように断言したとします。
「この塗料なら25年大丈夫です」
そして数年後、想定より早く劣化が進んでしまったらどうでしょうか。
お客様は決して安くない費用をかけて工事を依頼してくださいました。その期待を裏切ることになります。さらに私たちへの信頼も失われてしまうかもしれません。私は、それがお客様にとっても施工会社にとっても、時限爆弾のようなものだと思っています。
私がここまで慎重になるのには理由があります。塗装工事は数千円の商品ではありません。お客様がこれから先も住み続ける大切な住まいに対して、決して安くない費用をかけていただく工事です。だからこそ私は、次のような言葉だけで提案はしたくありません。
- 「絶対に持ちます」
- 「たぶん大丈夫です」
もちろん、開発されたばかりの塗料によっては、そう言わざるをえないこともあります。ただ、経験則としてお伝えできることはあります。
施工業者として、本当に責任をもてないことまで断言するべきではない。分かっていることは分かっていると伝える。逆に、分からないことは分からないと伝える。
良いことだけでなく、リスクや不確定な部分も含めて正直にお伝えする。それが施工会社としての責任だと考えています。
私が常に忘れないようにしていること
メーカー様との打ち合わせでは、新しい塗料が発売されるたび、様々な性能や特徴について説明を受けます。実は今日も、非常に魅力的な製品をご提案いただきました。そのたびに、次のようなことを様々な角度から考えます。
- お客様にとってどんなメリットがあるのか
- 施工性はどうなのか
- 長期的に見て本当に良い選択なのか
- どのような住宅でなら、その性能を活かせるのか
どうしても知識を増やせば増やすほど、塗料の選定など細かい部分に意識が向きます。それはお客様も同様で、決断の基準が施工全体の視点ではなく、塗料の種類のお話になってしまいがちです。
しかし、魅力的な製品を知るたびに、自分自身へ言い聞かせていることがあります。
塗料の話になると、どうしても商品の比較になります。もちろんそれも大切です。でも、本当にお客様が購入されるのは塗料そのものではありません。私たちの施工品質であり、私たちの判断です。
🎨 比較されやすい「塗料の話」
- どのメーカーが良いのか
- どの塗料が優れているのか
- どの商品がオススメなのか
🏠 本当に購入される「施工の判断」
- どの塗料を選ぶのか
- どこまで補修を行うのか
- どの工程を省略しないのか
その一つひとつの判断に責任をもつことこそが、私たちの仕事だと思っています。
どれだけ高性能な塗料を使用しても、下地処理が不十分であれば本来の性能は発揮できません。適切な施工手順が守られていなければ意味がありません。施工箇所の状態を正しく見極め、ひび割れ補修や下地補正ができていなければ、本来持てるはずの塗装価値は大きく下がってしまいます。さらに、規定の塗布量が確保されていなければ、耐久性も変わります。
今までにも、その判断を見誤った施工がされた結果、想定年数前に色あせやチョーキングが発生してしまった家屋の相談を何度も受けてきました。本来の塗料の性能を引き出せずに劣化してしまい、下地の補修まで必要になるケースは少なくありません。
塗料の性能は大切です。しかし、それ以上に施工品質が重要だと私は考えています。
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お客様にとって本当に大切なこと
私は塗料の性能を軽視しているわけではありません。むしろ、メーカー様との打ち合わせや勉強会、現場で実際に見て、さらに職人からのフィードバックなどを通じて、様々な情報を学び続けています。
ただ、どれだけ塗料が進化しても変わらない事実があります。それは、「塗料だけでは家は守れない」ということです。
🏠 家を長く守るために必要なこと
- 塗料の性能
- 職人の技術
- 下地処理
- 施工管理
そのすべてが揃って初めて、お客様の大切な住まいを長く守ることができます。
新しい塗料にも魅力があります。長年実績のある塗料にも強みがあります。しかしお客様の住宅は一軒一軒違います。同じ塗料を使っても、すべての住宅が同じ結果になることはありません。だからこそ、かとう塗装では、塗料の性能だけで判断しないよう心掛けています。
その家の状態を見て、そこに住まわれるご家族の考え方をお聞きして、その上で自分が責任を持てる提案をしたいと思っています。今日のメーカー様との打ち合わせ、そしてお客様からのご相談を聞いて、改めてそう感じました。
その提案に誰が責任を持つのか。
その性能をどれだけ信じるか。
その施工に誰が責任を持つのか。
私はそこが一番大切だと思っています。時には、同じ塗料なのに他社様より耐用年数が短い説明になることもあるかもしれません。それは、我々の様々な知識や経験を踏まえて、ご依頼いただく住宅の環境を我々なりに判断して導いた結果です。
営業のためのオーバートークをすることは簡単です。それでも私たちは、塗料の性能を売るのではなく、住まいを守る施工を提供したい。それが、かとう塗装の考える施工工事です。
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